2010年10月17日

Wasabi en France...


フランス生まれのオーガニックわさび
みずみずしく美しい緑色のペースト、フランスで初めて栽培に成功した本わさびです。フランスの三ッ星、二ツ星シェフたちに、粉わさびやチューブ入りわさびではなく、日本原種の植物としての“わさび”(Wasabia Japonica)を知ってもらおうと名古屋に本社のある金印わさびさんからコーディネートを依頼されたのは2005年のことでした。

シェフと農家さんの協力のもとブルゴーニュからロワール、ボルドーまでフランスの各地5カ所に種を蒔き苗を植えました。でも日本と土壌も気候も違うこと、嵐に遭ったり、猛暑にやられたり、なめくじに食べられたりと失敗が続く中、ついに昨年10月に収穫できたのが、リヨンの南、ロアンヌの三ッ星レストラン「メゾントロワグロ」のオーナーシェフ、ミッシェル・トロワグロ氏とビオ(有機栽培)の生産者ブリュノ・シュエッツェルさんチーム。正真正銘フランスで初めて栽培に成功したわさび、しかもオーガニック(有機栽培)です!


わさびと聞けば皆さん清らかな水が流れる山間のわさび沢を連想されるでしょう。しかし日本でもそのような“沢わさび”の栽培地は長野県や静岡県に限られ、ほとんどが“畑(はた)わさび”、つまり土栽培です。フランスでも土に植えました。わさびはとてもデリケートでミステリアスな植物。健康に育つには日光が必要ですが強すぎると枯れてしまい、根元は風通しよく、土はいつも湿っていなければなりません。

越冬をさせて約2年後に収穫する根気の必要なわさびは、アブラナ科の野菜でキャベツやクレソンの仲間です。栽培に成功したブリュノさんはそうしたわさびの特徴を理解し愛情をこめて毎日見守り育ててくれています。月に1回夜中に東京からブリュノさんに電話をして、栽培状況をチェック。金印わさびさんの農業エンジニアからのアドバイスを伝えて、というやり取りがもう5年も続いてます。


最初にブリュノさんの畑で抜いたわさびを鮫皮のわさびおろしでおそるおそるおろして、なめてみたときの感動は忘れません。ツンと鼻の奥に抜ける辛さとさわやかな香り…。体長5センチほどのチビわさびですが、日本産と変わらないパンチのある味わいでした。
今三ッ星「メゾン・トロワグロ」では地元で採れたこのわさびを料理(写真はマッシュルームと生わさびの前菜)やデザートに使っています。確かに日本から輸入するより新鮮で、フードマイレージの削減にも役立ちますね。日本とフランスのコラボレーションはこれからも続きます。